人間関係のトラブルの多くは上手な自己主張ができないことから生じます。
逆に言えば、上手な自己主張ができれば、人間関係のトラブルの多くがなくなります。
夫婦関係でも、親子関係でも、友人関係でも、仕事関係でも上手な自己主張ができることはとても大切なことです。
どんなに頭が良くても、お金があっても上手な自己主張ができない人とは長く付き合えないものです。
以下、上手な自己主張の条件について説明します。
ヨコの関係にたつこと
アドラー心理学ではタテの関係、ヨコの関係という言葉を使います。
相手との関係がタテの関係にあると、主張ができなかったり、攻撃的、復讐的な方法を取りやすいのです。
対等の人間であることを認識することが上手な自己主張の前提となります。
理性的であること
感情を使うコミュニケーションを良しとする人もいますが、感情を使うコミュニケーションは感情を使って相手を支配しようとすることになり、勝ち負けが生じます。自分の要求を通すことは勝ち負けの問題ではなく、協力を目的とするのですから、勝ち負けは問題とはなりません。
あくまで感情を使わず理性的に主張することが望ましいのです。
論理的であること
詭弁を使わない、妥協案を探すことが大切です。
100%自己の意見を通そうとすることは論理的ではありません。
権利と責任を意識すること
日本人には余り意識されない発想ですが、アドラーは、自分の権利とこれに伴う責任を重視します。
相手に何かを求めたら、相手も同じことを主張することを認めなければならない、そのような責任があります。従って、相手に何かを求めたら、相手が断る権利もあることを認めなければなりません。
また、権利主張をした結果を受け入れなければなりません。
自己の要求により相手を傷つけることをしてはいけません。人を傷つける権利はないのであるから、相手を傷つけない最大限の配慮をする責任があります。
非固執的である必要があります。日を変えれば、相手が受け入れることもあります。
依頼口調を使う
命令口調を使わず依頼口調を使うこと。
コミュニケーション能力の高い人は何気なくやっていますが、「○○して下さいませんか。」、「○○して下さると助かるのですが」などのようにお願い口調を使うと、受け入れやすくなります。誰でも命令されるのは嫌ですから(タテの関係が入るとうまくいかない)。
これが分かっていないと、家庭でも会社の部下に対するように命令口調を使い(最近では会社でもはやりませんが)、相手との関係が悪くなってしまいます。